









導入
アガベ・チタノタを語る上で、絶対に避けては通れない品種があります。
それが「白鯨(はくげい / Hakugei)」です。
肉厚な葉、荒波のようにうねる真っ白な強棘、そして完璧なボール状にまとまるフォルム。すべてのバランスが高次元で整ったこの品種は、アガベ初心者の憧れであり、数多のコレクションを経た上級者が最後に戻ってくる「終着点」でもあります。
本記事では、チタノタ オテロイの代名詞とも言える「白鯨」の魅力、そして白く締まった理想の株に仕上げるための育成のコツを徹底解説します。
アガベ チタノタ オテロイ 白鯨とは?
まずは、数あるチタノタの中で「白鯨」がどのような立ち位置にあるのか、その背景を整理します。
王道にして頂点
「白鯨」は、日本国内で古くから選抜・維持されてきた、チタノタ(オテロイ)の**「最高傑作」**の一つです。 流行り廃りの激しいアガベ界において、常にトップクラスの人気と価格を維持し続けているのは、その完成された美しさが普遍的であることの証明です。
名前の由来
葉の縁を覆う、激しくうねった幅広の白い棘が、海を泳ぐ白い鯨(White Whale)を連想させることから名付けられました。台湾や中国では「白鯨」の漢字そのままで愛されています。
【重要】原種との関係
白鯨は、アガベ・チタノタ(現在は学術的にオテロイとされることが多い)の個体群の中から、特に「葉が白く、棘が強く、丸くなる」という優れた特徴を持つ個体を選抜し、増やされた園芸品種です。
💡 ルーツを知ると育成がうまくなる 白鯨の強靭な性質は、原種であるオテロイから受け継いだものです。オテロイの分類論争や自生地の特徴を知ることで、白鯨の育成への理解が深まります。
▶︎【オテロイ完全解説】アガベ・チタノタ原種の分類論争と特徴
💡 アガベ全般について知る アガベ チタノタ オテロイ以外のアガベ全体の情報が知りたかったら以下のページで紹介しています。 ▶︎【決定版】アガベとは?初心者向け育て方・人気品種図鑑・価格を徹底解説
白鯨の決定的な3つの特徴(他品種との違い)
「ブラック&ブルー」や「シーザー」など、他の人気品種と白鯨は何が違うのでしょうか? 白鯨を白鯨たらしめる3つのポイントがあります。

1. 圧倒的な「白棘」と「連刺」
最大の特徴は、その名の通り「白さ」です。 鋸歯(棘)の幅が非常に広く、成熟した株では隣り合う棘同士が繋がり、一つの帯のようになる「連刺(れんし)」という表現を見せることがあります。この白いバンドが、緑の葉とのコントラストを生み出します。
2. ボール状にまとまる草姿
白鯨は、葉が内側へ内側へと強く巻き込む性質を持っています。 適切な光と水やりで管理された株は、まるで人工的に作られたかのような完璧な球体(ボール状)に仕上がります。この「締まり」こそが、良型白鯨の条件です。
3. 幅広で肉厚な葉
葉が短く(短葉)、厚みがあるため、株全体に重厚感があります。徒長(間延び)しにくく、コンパクトなスペースでも迫力ある姿を楽しめるのが魅力です。
市場に出回る「白鯨」の種類と選び方
これから白鯨を購入しようとしている方が、最も注意すべきポイントです。 現在、市場には大きく分けて「OC(オリジナルクローン)」と「TC(メリクロン)」の2種類の白鯨が存在します。
OC(オリジナルクローン / カキ仔)
親株から出てきた子株(カキ仔)を外して育てたもの。
- メリット: 親株の遺伝子をダイレクトに受け継いでいるため、成長すれば親と同じ顔(特徴)になる可能性が極めて高い。
- デメリット: 増殖スピードが遅いため、価格が高くなりやすい。
TC(メリクロン / 組織培養)
親株の成長点細胞を培養し、試験管内で大量に増殖させたもの。
- メリット: 大量生産できるため、価格が安い。病気を持っていない(ウイルスフリー)ことが多い。
- デメリット: 特徴が出るまでに時間がかかる場合や、稀に親株とは異なる特徴(変異)が出ることがある。
失敗しない選び方
初心者の方は、「OC(カキ仔)」と明記されている株か、信頼できる専門店(ナーセリー)が販売している株を選ぶのが無難です。 また、小さすぎる子株は特徴が判断しづらいため、ある程度葉数が増え、白鯨らしい白い棘が出てきている中株サイズを選ぶと失敗が少なくなります。
白鯨を「白く、丸く」育てる育成の極意
白鯨を手に入れたら、目指すは「真っ白な棘」と「丸いフォルム」です。
一般的なアガベよりも、さらに一歩踏み込んだ管理が必要です。
1. 光:最強クラスの光を浴びせる
白い棘を維持し、葉を立たせてボール状にするためには、非常に強い光が必要です。 光量が不足すると、棘が細くなり、葉が「パカーン」と開いてしまいます。
- 屋外: 直射日光が当たる一等地へ。
- 室内: 高光量のLED育成ライトを、葉焼けしないギリギリの距離から照射します。
💡 室内育成の必須アイテム 白鯨を室内で徒長させずに締めて育てるには、プロ仕様の育成ライトが欠かせません。選び方の基準は以下の記事で比較解説しています。
▶︎【必携】アガベ室内育成グッズガイド:ライト・サーキュレーター徹底比較
2. 水やり:常に「締め気味」を意識する
水をやりすぎると、葉が水分を含んで膨張し、形が崩れやすくなります。 土が完全に乾いてから、さらに数日(株の状態によっては1週間程度)空けてから水やりをする「辛めの管理」を行うことで、葉が短く、肉厚に進化します。
3. 風:蒸れを防いで根腐れ回避
葉が密集するボール状の株は、内部が蒸れやすい構造をしています。 サーキュレーターで24時間風を送り続け、株元の湿気を飛ばすことが、健康維持の鍵です。
白鯨 / ハクゲイのYahoo!オークションの落札数推移
Yahoo!オークションにおける『アガベ 白鯨』の落札数を月ごとに集計してプロットしました。
落札数の推移から人気が出始めた時期を推測することができます。検索用ワードによって検索された対象を集計から除外していないので実際の落札数とは一致していません。
※ 株の人気を測る目的のために売買価格よりも、落札数の推移を重視しています。
※ Yahoo!オークションでの購入は偽物を購入する可能性があるため、推奨していません。
※ 検索用ワードによるカウントも含みます。無作為に集計するため除外していません。

まとめ
アガベ チタノタ ‘白鯨’ は、育成者の技術と愛情に応えて、その姿を劇的に変化させる品種です。
- 白く太い棘
- 丸く締まったボディ
この2つを作り上げる過程こそが、アガベ育成の最大の楽しみと言えるでしょう。
まずはこの「王道」から、アガベの奥深い世界に足を踏み入れてみてください。
白鯨 / ハクゲイの基本データ
| 属性 | 詳細 |
|---|---|
| 名前 / 1 | 白鯨 |
| 名前 / 2 | ハクゲイ |
| 名前 / 3 | white whale |
| 株姿 | ボール形 |
| 葉形 | 横長/牡丹葉 |
| 鋸歯色 | 白系 |
| 葉色 | 緑色 |
| その他の特徴 | うねり強め |
画像掲載の許可をしてくださった皆様
あなたが育成を検討しているこの品種は、アガベの中でもチタノタ・オテロイに分類されます。アガベの基本情報や魅力、アガベライフを失敗しないための情報は、【決定版】アガベ初心者向けガイドで確認できます。






