
導入
その名は「ブラックファイヤー(Black Fire)」。
和名、「黒火焔(こくかえん)」。 名前の通り、黒い炎が燃え上がるような荒々しい鋸歯(きょし)と、深く濃い緑色の葉を持つ、アガベ界でも屈指の「渋さ」を誇る品種です。
対になる名前を持つ「ホワイトファイヤー(白火焔)」が華やかな美しさを持つなら、このブラックファイヤーは「無骨なカッコよさ」の極み。 本記事では、派手さとは一線を画すその重厚な魅力と、漆黒の棘を維持するための育成のコツを徹底解説します。
アガベ ブラックファイヤー(黒火焔)とは?
ブラックファイヤーは、台湾から輸入されたアガベ・チタノタの選抜個体です。 読み方はそのまま「ブラックファイヤー」、または通称として「くろび」「こくかえん」と呼ばれます。
ホワイトファイヤーとの関係
「ホワイトファイヤー(白火焔)」とは、名前こそ対になっていますが、特徴は正反対と言えるほど異なります。
- ホワイトファイヤー: 白く幅広で、うねりのある鋸歯。葉は明るいライムグリーン。
- ブラックファイヤー: 黒く鋭く、荒々しい鋸歯。葉は濃いダークグリーン。
単なる色違いではなく、棘の形状や葉の展開、全体の雰囲気まで全く別物です。 しかし、その対照的な美しさゆえに、両方を揃えて「紅白(白黒)」でコレクションする愛好家も多く、並べた時のコントラストは圧巻です。

ブラックファイヤーの決定的な3つの特徴(ハデスとの違い)
同じ「黒い棘」を持つ人気品種「ハデス(黒帝斯)」ともよく比較されますが、ブラックファイヤーには独自の「野性味」があります。
1. 荒ぶる「黒棘」
ハデスの棘が「鋭利な刃物」のように研ぎ澄まされているのに対し、ブラックファイヤーの棘は「太く、不規則に荒ぶる」のが特徴です。 整いすぎないその姿は、自然界の厳しさを生き抜いてきたかのような野性味を感じさせます。
2. 濃く深い「ダークグリーン」の葉
葉の色が非常に濃く、深い緑色(ダークグリーン)をしています。 この暗い葉色が、漆黒の鋸歯と相まって、株全体にどっしりとした「重厚感」を与えます。明るい部屋よりも、少し落ち着いた照明の下や、インダストリアルな空間によく似合う品種です。
3. ハデス(黒帝斯)との対比
- ハデス(鋭・貴): 繊細で長いトップスパイン(上棘)が特徴。貴族的な美しさ。
- 黒火焔(剛・野): 太く荒々しいサイドスパイン(横棘)が特徴。野武士のような力強さ。
洗練された美しさを求めるならハデス、無骨なカッコよさを求めるならブラックファイヤーがおすすめです。

ブラックファイヤーを「真っ黒に」仕上げる育成の極意
ブラックファイヤーは比較的強健で、徒長(間延び)もしにくい「育てやすい」品種です。 しかし、あの魅力的な「漆黒」を維持するには、少しだけコツがいります。
「黒」を作るのは光と紫外線
鋸歯の黒さは、植物が強い光から身を守るために生成する色素(メラニンに近い役割)によるものです。 光が弱いと、新しい棘の色が薄くなったり、茶色っぽくなったりしてしまいます。
- 光(必須): 育成ライト(LED)を至近距離から当て、常に強い光を浴びせることが重要です。
- 紫外線(効果的): 暖かい時期は屋外に出し、紫外線を含む太陽光に当てることで、より深く濃い「黒」を引き出すことができます。
室内で強い光を確保するための「ライト選び」や「環境構築」については、以下の完全ガイドで詳しく解説しています。
図鑑の発展にご協力ください
Plants Chainでは、より充実したアガベ図鑑を作るために、皆様の育成している愛株の写真を募集しています。
もし図鑑の発展にご協力いただける方がいらっしゃいましたら、公式InstagramのDMよりお声がけいただけると嬉しいです。
まとめ
アガベ チタノタ ブラックファイヤー。
派手さはありませんが、見るほどに味わい深い、玄人好みの「渋い」品種です。 ホワイトファイヤーと並べて楽しむもよし、単独でその野性味を愛でるもよし。
男らしい無骨なアガベを求めているなら、間違いなくハマる一株です。 ぜひ、漆黒の炎をあなたの手で育て上げてください。
黒火焔 / ブラックファイヤー の基本データ
| 属性 | 詳細 |
|---|---|
| 名前 / 1 | 黒火焔 |
| 名前 / 2 | ブラックファイヤー |
| 名前 / 3 | Black fire |
| 株姿 | 扇形 |
| 葉形 | 丸葉 |
| 鋸歯色 | 黒系 |
| 葉色 | 緑色 |
| その他の特徴 | – |
あなたが育成を検討しているこの品種は、アガベの中でもチタノタ・オテロイに分類されます。アガベの基本情報や魅力、アガベライフを失敗しないための情報は、【決定版】アガベ初心者向けガイドで確認できます。

