【繊細】アガベ チタノタ フィリグリー (圓葉拇指) の特徴と育て方｜金銀細工のような鋸歯と丸葉

その名は「フィリグリー（Filigree）」。

直訳すると「金銀線細工」。 アガベ チタノタといえば、「厳つい」「肉厚」「強烈」といった言葉で語られることが多い植物ですが、このフィリグリーは少し毛色が異なります。

金属工芸品のように細かく波打つ鋸歯（きょし）と、優しく丸みを帯びた葉。 初心者から上級者まで幅広く愛される、コンパクトで美しいボール型アガベの魅力を解説します。

フィリグリーは、台湾などで選抜されたアガベ・チタノタの一種です。 漢字では「圓葉拇指（エンヨウボシ）」と表記されます。

名前の由来

• 圓葉（エンヨウ）： 丸い葉
• 拇指（ボシ）： 親指（のように短く太い）

その名の通り、丸く短い葉が特徴です。 また、英語名の「フィリグリー」は、その繊細な鋸歯が、金や銀の線を巻き上げて作る透かし細工（フィリグリー）に見えることから名付けられました。

フィリグリーの魅力は、他の厳つい品種とは一線を画す「繊細な造形美」にあります。

1. 金銀線細工のような「微細な鋸歯」

最大の特徴は、鋸歯の細かさと密度です。 一つ一つの棘が細長く、チリチリと波打ちながら密に並びます。 太く強烈な棘を持つ「白鯨」や「シーザー」が「剛」のアガベなら、フィリグリーは「柔」と「美」のアガベと言えるでしょう。

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2. 葉が薄く柔らかい「ラウンドリーフ」

肉厚な品種が多い中で、フィリグリーの葉は比較的「薄く、柔らかい」質感を持っています。 葉の形状は「丸葉（ラウンドタイプ）」であることが多く、薄い葉が何枚も重なり合うことで、非常に美しい球体（ボール型）を形成します。 この「自然と丸くまとまる」性質が、初心者にも育てやすいと言われる理由の一つです。

3. 成長と共に現れる「連刺」

株が充実してくると、細かい鋸歯同士が繋がり、帯状の「連刺（レンシ）」へと進化することがあります。 繊細なレースのような棘が、成長とともに一本のラインとして葉を縁取る姿は、大人の株だけが持つ風格です。

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フィリグリーは育てやすい品種ですが、「葉が薄い」という特徴ゆえに、水やりには少し気を使う必要があります。

水やり：断水しすぎない

肉厚なアガベ（白鯨など）は葉に大量の水を蓄えられるため、厳しい断水にも耐えますが、葉が薄いフィリグリーは保水力がやや劣ります。 あまりに水を切りすぎると、下葉が枯れ込みやすく、せっかくのボール型が崩れてしまうことがあります。 「完全に乾ききる直前」を見極め、他のチタノタよりは少しだけ頻度を高めにするか、一度の量をしっかり与えるのが、下葉を残して美しく育てるコツです。

光：繊細な棘を密にする

徒長を防ぎ、あの細かい鋸歯を密に出すには、やはり強光（LED）が必須です。 光が弱いと葉が伸びて隙間ができ、フィリグリー特有の「詰まった美しさ」が損なわれてしまいます。

薄い葉を枯らさず、かつ徒長させないための「用土の保水性調整」や「ライトの照射距離」については、以下の完全ガイドで詳しく解説しています。

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購入時は、以下のポイントをチェックすることをおすすめします。

• タイプ: 「ラウンドタイプ」と明記されているものや、親株が綺麗なボール状になっているものを選ぶと、理想の姿に育ちやすいです。
  
• 成長点: フィリグリーは成長点が分裂しやすく、多頭（マルチヘッド）になりやすい性質があります。単頭で綺麗に育てたい場合は、成長点が正常で、変な箇所から芽が出ていない株を選びましょう。

アガベ チタノタ フィリグリー。
それは、アガベの中でも特に「美しさ」と「繊細さ」が際立つ品種です。 厳ついだけがアガベではありません。

工芸品のような緻密な造形美を持つこの一株を、ぜひ手元で愛でてみてください。