導入
大切に育てていたアガベの葉が、ある日突然赤茶色に変色していたら…。 驚いて水をあげたり、慌てて薬剤を撒いたりする前に、まずは冷静に観察してください。
その「赤」は、アガベからの「SOS」かもしれませんし、あるいは健康に育っている証拠(生理現象)かもしれません。 特に、室内でLEDライトを使って育成している場合、特有の変色が起こりやすい傾向にあります。
本記事では、心配のない「安全な赤(ストレスカラー)」と、すぐに対処が必要な「危険な赤(病気・害虫)」の見分け方と、それぞれの対処法を解説します。
原因1:ストレスカラー(紅葉・生理現象)
アガベが赤くなる原因の多くは、実は病気ではありません。 強い光や寒さ、水切れなどの「ストレス」を受けた時に、葉緑素(緑色)が減り、アントシアニン(赤色)が増える「紅葉」のような現象です。これをストレスカラーと呼びます。
特徴(安全な赤)
- 色: 葉全体、あるいはライトに近い部分が、じんわりと赤紫色や赤茶色になる。
- 感触: 葉の組織は硬いままで、ハリがある(ブヨブヨしていない)。
- 成長点: 中心の新しい葉は緑色のままで、元気がある。
対処法
基本的に「心配無用」です。 現地のアガベは過酷な環境で育っているため、赤みを帯びていることが多いです。ワイルドな姿を目指すなら、あえてこの状態をキープするのも一つの育成スタイルです。
【緑に戻したい場合】
- LEDライトの出力を少し下げるか、距離を離す。
- 水やりの頻度を少し増やす。
- 寒い場合は、暖かい場所に移動する。
例外:レッドキャットウィーズル(赤猫)
「レッドキャットウィーズル」などの一部の品種は、その名の通り「赤くなるのが正解」です。 これらは光を浴びると赤く色づく性質を持っています。むしろ、緑色のままでは光量不足(徒長気味)の可能性すらあります。品種特性による赤みは、最高の健康状態ですので安心してください。
原因2:LED焼け(強光障害)
室内育成特有のトラブルです。LEDライトが近すぎたり、強すぎたりすることで、葉の表面細胞が破壊された状態です。
特徴
- ライトが直撃している高い部分だけが、茶色く焦げたように変色する。
- ひどい場合は、色が抜けて白っぽくなる(葉焼け)。
対処法
一度焼けた部分は戻りませんが、これ以上広げないために環境を調整します。
- 照度計で光量を測り、距離を離す。
- サーキュレーターの風を当てて、葉の表面温度を下げる(LEDの熱も原因の一つ)。
原因3:【危険】ダニ被害・病気
絶対に見逃してはいけないのが、害虫(ダニ)や病気による変色です。 これは放置すると株全体に広がり、最悪の場合は枯死します。
特徴(危険な赤・茶)
- 質感: 赤というより、「茶色いケロイド状」のガサガサした傷が広がっている。
- 場所: 成長点(中心)付近の葉がいびつに変形(奇形)している。
- 根元: 葉の付け根がドス黒く変色し、触るとブヨブヨしている(腐りのサイン)。
対処法
- 即隔離: 他の株に移るため、すぐに別の部屋へ移動させます。
- 薬剤散布: ダニが疑われる場合はコロマイト乳剤などを散布します。腐りが疑われる場合は、患部を切除して殺菌剤(ベンレートなど)を塗布し、乾燥させます。
安全な赤 vs 危険な赤の見分け方チャート
迷ったら、以下の2点をチェックしてください。
1. 触ってみる
- カチカチに硬い → ストレスカラー or LED焼け(様子見OK)
- ブヨブヨ・水っぽい → 腐り・軟腐病(緊急手術が必要)
2. 場所を見る
- 外側の葉だけ → 寒さ・老化(問題なし)
- 成長点(中心)が変 → ダニ・薬害(即対処)
まとめ
アガベの「赤」は、彼らからのメッセージです。
- 硬くて元気な赤: 「光が強くて最高だぜ(ちょっとキツイけど)」というサイン。
- 汚い茶色の赤: 「虫がいる!助けて!」というサイン。
毎日の観察で、このメッセージを正しく受け取り、適切なケアをしてあげましょう。 特に室内では「LEDとの距離感」を見直すだけで、きれいな緑色に戻ることが多いです。
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